有機太陽電池 NEDOプロスタート!

有機太陽電池開発の国プロがスタートしたようです。

https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/FF/nedopress.2010-06-28.1811241894/


  東京大学先端科学技術研究センター瀬川浩司教授(中心研究者)とNEDO(研究支援担当機関)は、内閣府で実施する最先端研究開発支援プログラム(※1)低炭素社会に資する有機太陽電池の開発」プロジェクトをこの度スタートします。オールジャパンの研究体制により、太陽光発電の導入加速と世界市場獲得を目指し、次世代低コスト太陽電池として期待される有機太陽電池(※2)の研究開発を加速、早期の実用化につなげ、低炭素社会の実現に貢献します。
また、研究現場に密着した研究開発マネージメントを行うため、NEDO職員1名が東京大学先端科学技術研究センターに常駐し、従来の形式にとらわれない効率の高い研究支援を行います。


1. 事業の目的

 有機太陽電池は、従来型太陽電池に比べ、製造時のCO2排出量が少なく、原材料の資源的制約も少ない上、カラー化・フレキシブル化・大面積化・高速印刷製造等が可能であり、大幅な低価格化を達成できる可能性を有しています。そこで、本プロジェクトは、最先端研究開発支援プログラムの下で産官学のオールジャパン体制を組織し、有機太陽電池の早期の実用化を目指します。

2. 実施機関

このプロジェクトでは、大学、民間企業など19の研究機関が密接に連携して研究に取り組みます。


アイシン精機株式会社
株式会社豊田中央研究所
株式会社リ
コー
学校法人桐蔭学園桐蔭横浜大学
学校法人東京理科大学
学校法人早稲田大学
国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター
国立大学法人九州工業大学
国立大学法人京都大学
国立大学法人岐阜大学
財団法人神奈川科学技術アカデミー
シャープ株式会社
新日本石油株式会社
住友化学株式会社
ソニー株式会社
太陽誘電株式会社
大日本印刷株式会社
東レ株式会社
独立行政法人産業技術総合研究所

  • この他、現在オブザーバーとなっている電力会社を含む複数の企業が、次年度以降より参画する予定です。

3. サブテーマ

有機太陽電池の実用化を目指して、新材料探索や新構造太陽電池の開発と関連基礎研究、計測技術と標準化など以下の14のテーマについて研究を行います。(各テーマの実施体制は別紙の通り。)


〔 1 〕有機太陽電池の実用化に向けた、新概念、新素材、新構造に関わる基盤研究
〔 2 〕認証データ計測センター機能構築と要素技術の開発・評価
〔 3 〕有機無機ハイブリッド接合を用いる高効率太陽電池の開発
〔 4 〕電荷分離・輸送・貯蔵ポリマーの複合機能制御と新型湿式太陽電池の創出
〔 5 〕理論計算化学による有機太陽電池の基礎科学
〔 6 〕超高効率色素増感太陽電池を目指した新規増感色素の探索
〔 7 〕有機薄膜太陽電池の劣化機構の解明
〔 8 〕光電変換の原理解明に基づく高効率有機薄膜太陽電池の開発

〔 9 〕透明導電膜を必要としない縦型タンデム色素増感太陽電池の機能実証
〔10〕高度構造制御された酸化チタンナノ微粒子の高速合成及び製膜技術の開発
〔11〕色素増感太陽電池の高効率化のための要素技術開発
〔12〕色素増感太陽電池の特徴を活かした用途開発と、それに必要な要素技術の研究開発
〔13〕低コスト色素増感太陽電池の製造と発電実証試験
〔14〕高効率有機薄膜太陽電池の作製

4. 事業の内容

 このプロジェクトは、東京大学 先端科学技術研究センター 附属産学連携新エネルギー研究施設(施設長:瀬川浩司教授)内に集中研究室を置き、多数の企業・大学・研究所の緊密な連携の下に研究開発を加速します。
 色素増感太陽電池(※3)は、耐久性向上と変換効率向上が課題であり、基礎に遡って要素技術を確立する必要があります。一方の有機薄膜太陽電池(※4)は、劣化や電荷トラップ等の科学的知見の体系化が課題であり、高効率化と高耐久化設計指針を確立することで、劣化試験に耐え得る有機薄膜太陽電池の実現を目指す必要があります。今回のプロジェクトでは、色素増感太陽電池有機薄膜太陽電池それぞれに優れた実績を有するグループが参画、相互に連携します。さらに、有機太陽電池の性能評価を目的とした第三者も利用可能な認証データ計測センター(※5)を設立し、有機太陽電池の実用化環境を整備します。
 これまで多くの研究グループに分散していた知見・研究開発資源を結集し、オールジャパン体制で世界最高性能の有機太陽電池をいち早く実現し、国際競争に打ち勝つ研究開発を進めます。


5. お問い合わせ先

(中心研究者の問い合わせ先)
東京大学先端科学技術研究センター 瀬川浩司教授 TEL 03-5452-5295

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
新エネルギー技術開発部 堀、木場  TEL
044-520-5277

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
NEDO 広報室 田窪、廣瀬 TEL 044-520-5151


[用語解説]

  • 1. 最先端研究開発支援プログラム:
    内閣府・(独)日本学術振興会において実施される研究開発プログラムです。新たな知を創造する基礎研究から出口を見据えた研究開発まで、幅広い分野及びステージを対象とし、3〜5年で世界のトップを目指した先端的研究を推進することにより、我が国の中長期的な国際的競争力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果の国民及び社
    会への確かな還元を図ることを目的としたプログラムです。
  • 2. 有機太陽電池
    太陽光発電は光吸収層の材料及び
    素子の形態などにより、シリコン系、無機化合物系、有機太陽電池に大別される。このうち有機太陽電池は、光吸収層(光電変換層)に有機物質を用いたもので、色素増感太陽電池有機薄膜太陽電池に大別されます。
  • 3. 色素増感太陽電池
    有機色素を用いて光起電力を得る太陽電池です。1990年にスイスローザンヌ工科大学のグレッツエル教授が発表したグレッツエルセル(湿式太陽電池)が典型的な色素増感太陽電池で、透明電極の間に微量のルテニウム錯体などの色素を吸着させた二酸化チタン層と電解質を挟み込んだ構造をしていて、光化学
    反応に基づいて発電します。材料は安価、製造方法もシンプルという特徴がありますが、光電変換効率、耐久性が課題で、現在電解液の固体化など、種々の研究が進められています。
  • 4. 有機薄膜太陽電池
    電子受容材料と電子供与材料という2種類の有機薄膜半導体を組み合わせて作る太陽電池で、色素増感太陽電池とは異なり、全固体型の半導体バイスです。変換効率は低いものの、電解液を用いず、印刷法による溶液塗布が可能なため、将来的には最も低コストで生産ができる太陽電池として期待されます。
  • 5. 認証デー
    タ計測センター:
    有機太陽電池では、光電変換効率などの特性評価基準や製品としての性能評価基準が定まっていないため、第三者的な機関に認証データ計測センターを設置し、統一的な特性・性能評価を可能とします。


素性がよい「ところもある」のは認めるが、果たして市場に受け入れられるのか、というところが、最大にして唯一のポイントだろう。
そういう意味では、「市場に受け入れられる」ための開発が最優先になる。
シリコン系太陽電池のほうもどんどん先に進むので、それに置いていかれないように。そして追い抜かないことには全く意味がない。