電極反応における、反応物質濃度プロファイル
電極反応が以下のように起こるとする。
反応物質の酸化体を、還元体をとし、反応電子数をとする。
またここでは、平面電極で、物質移動は線形拡散のみで起こると仮定する。
(右向きが還元反応、左向きが酸化反応)
このとき、反応が進むにしたがい、電極表面のとの濃度に変化が生じる。
その反応物質(、)の濃度分布プロファイルは、フィックの法則に従う。
よって
ここでは、酸化体の、電極からの距離および時間における濃度プロファイルを、
は還元体の、電極からの距離および時間における濃度プロファイルを表している。
以下、酸化体のみについて展開する。
について両辺ラプラス変換を行い、微分定理を適用する。
ここで、はのバルク(電極から無限遠方)の濃度である。
この式を、今度はについてラプラス変換を行い、同じく微分定理を適用する。
(、、はそれぞれを含まない関数である。)
を逆ラプラス変換で戻すと
ここで、
より
だから、
、
であることがわかる。
すなわち
ところで、電極反応によって生じる電流 は、電極表面における反応物質の濃度勾配に比例することが知られており、を反応電子数、をファラデー定数、を電極面積とすると、以下のように書ける。
(フィックの第1法則)
(酸化電流(電子が反応物質から電極へと向かう)を正とする)
ラプラス変換すれば
いっぽう、さきほどの式をについて微分すると
2つの式を比べると、
したがって、
電極表面では、
これが、酸化体の電極表面での濃度プロファイルとなる。
同様にして、還元体についても
と書くことができる。