タンパクの分子量の単位=「ダルトン」 ← 間違い

タンパクの分子量によく「30 kDa」とか「55 kD」とか表示されることがある。「〜キロダルトン」とか平気でみんな使う。SDS-PAGEの分子量マーカーなんかでも見る。実はこれは誤り。


分子量は、正式には「相対分子質量」と呼ばれ、その分子の相対的な質量を一定基準(12C原子の質量に対する比の12倍)で表示する方法である。質量を意味するといえばそうであるが、相対値であるため、単位をつけて標記するのは間違い。同じく原子量もそう。

意味するところは比(比率)であるため、無次元数となり単位はつけられない。(他に無次元数としては、マッハや比重などがあって、それらは単位がない。)


じゃあ、「Da(ダルトン)」って何?というと、これは質量を表す単位で、12C原子の質量の1/12を1と定義される。これは今国際単位系(SI:Le Systeme International d'Unites)で公式に認められている。つまり、


「これこれの分子の質量は42 kDaです」…○
「このタンパクの分子量は42 kDaです」…×
「このタンパクの分子量は42 kです」…○


さらに、「42 kD」という表示は間違い。質量を表す単位記号は「Da」であり、「D」という単位記号は公式に存在しない。「分子量は42 kDです」という書き方は、二重に間違いを犯していることになる。


以上、「化学と生物」(日本農芸化学会誌)2009 Vol.47 No.6 「間違えやすい質量分析基礎用語」吉野健一 p436-440 からの情報でした。